前に読んだ同じ著者のビジネス本がおもしろかったので、次の本を早速読んでみました。今度は小説です。
営業の悪魔
著:長谷川 千波 2015/2/10
あらすじ
営業3年目の主人公が、社内のトップセールスの営業に同行し、技術を盗むミッションを受け、トップセールスの現場の様子を見ていくというストーリーです。
話の中には、著者のビジネス本の教えがいくつも盛り込まれていて、両方読むと、これあそこに書いてあったことだな~と紐づいていっておもしろいです。
著者はあとがきで、”営業の極意はすべてが「ケースバイケース」。ケースを語るにはエピソードが不可欠。”
と書いているのですが、たしかにビジネス小説は著者の書きたいことに合っていて良い形態だと思います。ただ箇条書きされた教訓よりも、エピソードとセットになった教訓の方が、覚えやすかったりもしますしね。
読書メモ
読んでる間にメモしたことを書いていきます。
一人目 60万円する学習教材のテレアポ営業
・アポを取ってすっぽかされたら生産性はゼロ。脈無しのところに行くより、黙々と電話をかけ続ける方が数字が良くなる。
・逆にニーズがありそうなら手強そうでも行く。
↑ビジネス書でも、この話は出ていました。
と考えると、興味の無いテレアポ来たら、営業に付き合うよりも、一言も喋らず即切っちゃっう方がお互いのためになるのかもしれませんね。
・会社のルールはパフォーマンスの低い者のためにある。
↑一人目のトップセールスは営業のマニュアル通りの売り方をしません。そこでこういう言葉が出てくるのですが、これはわりと共感できます。
僕もマニュアルやマナー、ルールは無難に仕事するための道具で、外れるとどういったリスクがあるのか理解しているなら、外した方が良いシチュエーションは多いなと思ったことがあります。
そもそも自分の所属では当たり前のマニュアルが、他の場所では無かったり、原始人扱いされたりするものです。
ただ破るとどういったリスクがあるのを理解していて、というのが重要だと思います。
工場で従業員が一見効率が悪く思えるからと作業員がマニュアル無視の作業をしたら、トラブルが起きた時に原因特定できなくなって管理者が非常に困るとか、一見無意味な設計ルールを破ったら不具合が発生したとか、禁止されている行動は、過去トラブルがあったから禁止されているわけなのです。
・客は格下の人間に高いお金は払わない
・営業マンが見てくださいとお願いした時点でお客様が優位に立ち、営業は格下になる。
・なので、お客様の見たいという気持ちを引き上げ、見せて欲しいと言わせる。
↑相手に気持ちを言わせるってのをめちゃめちゃ強調しています。これは営業に限らず、誰かにお願いをするときに役立ちそうなノウハウだと思います。
下からお伺いをたてて、ご機嫌を取ろうとしているだけではできない行動なので、意識するしないで差がつきそうです。
・テレアポの時、ナビでわかるのに家の近くの目印を聞いた。
・訪問まで、私の説明でわかったかしら?もっと別の目印の方が良かったかな?と自分のことを気にしてもらう。
↑女の子と待ち合わせする機会があれば使ってみようってかんじですけど、このシチュエーションだけ覚えていても、仕方ないんですよね。こういう時こう言ったら相手はこう思うかな?って脳内シミュレーションを日々していったら、自分でこういう発想ができるようになるんですかね?
・脱いだ靴を玄関の真ん中に置かない
・商談の前は匂いを嫌ってコーヒーを飲まない
↑他にもいろいろ出てくるんですが、できる営業は細かいところに気付くし、姿勢が違うという描写があります。
僕も最初の設計部署に配属されたての頃、同じ部署に入った同期と一緒に会議に出たとき、同期がプロジェクターの電源をつけたり、入ってきた扉をしめたり、プロジェクターが見やすいよう電気を消したり、細かい気配りができるタイプで、僕が座っている横でテキパキ動き回っていて、何でこいつはこんなにデキるんだと嫉妬した覚えがあります。
今なら少しは成長した実感があって、あの時の同期くらいは先読みで動けるんですが、これを言ったら怒られるかな~を察知する力が弱く、普通にデリカシーが無く人を怒らせてしまうことが多々あるので、もっと気付けるようになりたいですね。(先週も同僚にナチュラルに字が下手だねと言って怒らせてしまって後悔しています。())
・3者で話すとき、 子どもを褒めるときは母親を褒め、母親を褒めるときは子どもを褒める。
・面と向かって相手を褒めても謙遜されてしまって話が盛り上がらないため。
↑上司をおだてたり、飲み会で同僚と打ち解けるときに使えそうです。
・リスクを取って断定することで、インパクトのある話ができる。
・お客様のために雰囲気を変えようとするのと、自分が楽になりたくてリラックスした雰囲気にしたがるのは違う。
↑真面目な話をしているときに茶化すなとは昔言われた覚えがあります。真剣な空気を無暗に変えない方が良いのかもしれません。
・お客様が一旦言ったことを翻すのはバツが悪い。
・強い口調で責めるようなことを言い、ここまで言われたら仕方ない、と相手に言い訳する余地を作る。
↑昔教育系の何かでも、相手に逃げ道を用意しろと見かけた気がします。ネットだと相手の揚げ足を取ったり、論破するようなコミュニケーションを見かけがちですけど、リアルではだいたい目的達成から遠ざかる悪手だなとは常々思います。いや、論破が云々は相手の逃げ道を用意するよりさらに、数段レベルの低い心がけの話なんですけど。
とりあえず相手に望んだ行動をしてもらうには、相手の立場で何が障壁なのかってのを考えてそれを取り除いていくってことを意識したいですよね。
・お客様の家の中にお金が落ちていてそれを取りに行くだけと考える。
・なので、お客様に見下されて腹を立てたり、門前払いに負けたり、反応に一喜一憂しない。
↑一行目の考え方は置いておいて、みんな目的が何かを考えないから、結果に至る過程で一喜一憂して不適切な反応をしてしまうんだろうなと思うことはあるので共感します。
普段一緒にいる同僚に見下されたり、失礼なことを言われたら、日常的にストレスがたまるので、そういうときは怒った方が良いのかもしれませんが、たまに接触するだけの人や利害関係のある人から何か言われて一喜一憂するのは悪手だと思います。
・金は会社から出ていると思っているから、監視されないとサボる。
・お客様からお金をもらっていると意識する。
↑共感するのですが、たぶん、これはある程度働いた社会人なら簡単に身につく考え方で、周りを見ると管理職やベテランはだいたいこの考え方です。だからこの考え方ができたところで差はつかない気がします。とすると、すぐに理解できることよりも、一瞬共感できないようなことが、自分で気づけないことで、自分にとって大事な教えなのかもしれません。
・後は家族で話し合います→荷物を部屋に置いたまま一旦場を離れ、その日の内に再来訪する
↑僕も業者と面談をして勧誘されたとき、「上司と話しあってみます。」と言ってその場を去った後、特に話し合いはせず普通に作業を始めるってのをよくやるので、本当に検討してもらいたいならそうやってプレッシャーをかけないとダメだよなと思います。
相手に催促したり、圧をかけるのは勇気がいることですけど、やらないと可能性は0%って状況はよくあると思います。て言って、僕が業者にそんなことされたら不快に感じるんでしょうけど。本書で扱っている飛び込み営業だからこそのシチュエーションなのかもしれませんけど。
つづく