読んだ本 方法序説ほか

方法序説、哲学の原理、世界論

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発行:2001/8/10 原著:1637年

感想

フランスの哲学者ルネ・デカルトの「方法序説」「哲学の原理」「世界論」の3作が収録されています。「方法序説」は古典のわりにすらすら読めたのですが、「哲学の原理」と「世界論」は挫折しててきとうに読み流しました。
デカルトは学生の頃の哲学の講義で出てきたので、”全てを疑う→思考する自分は確実に存在する→それを基盤に考えを進め神の存在を証明する”という手法までは習って知っていて、神の証明をした後にそれをベースに科学的な考察をしていることを知らなかったので、疑いすぎてわけがわからなくなってる人という印象を持っていました。
しかし、本を読んでみるとデカルトは科学や医療に精通し現代人の感覚からしても通用するような立派な思想を持っていることがわかりかなり印象が変わりました。


方法序説」はデカルトの物事の考え方研究の進め方が書かれ、「哲学の原理」「世界論」では研究の成果が書かれています。研究成果の方は血液に精気が宿ると考えられていたとか、真空は無く原子が動いたら動いた後に別の原子が入ってくると考えられていたとか雑学として面白そうな内容はかなり含まれているのですが、ちゃんと理解するには内容が難しいので今回は流し読みして暇だったらまた読むことにしました。
方法序説の刊行された1637年というとまだニュートン(1643-1727)はギリギリ生まれていないけど、ガリレオガリレイ(1633年に異端審問を受ける)よりは新しいくらいの年でイメージよりも科学が進んでいます。 
思ったのですが、この時代の哲学の研究をしてる人って時代背景や当時の考えを理解するために当時の科学理論を理解しないといけないし、原文を読むために古い外国語も読まないといけないしでなかなか大変そうですね。

ピックアップ

過去の本への考え方
第一部でデカルトは本を読むことを旅に例えています。けっこうその考え方に共感できました。
旅で違った国民の習慣を知ることは自身の習慣について健全な判断を下すために、自身のやり方に反することが滑稽と思わないようにするために有益。
しかし、旅に時間を費やしすぎると結局自分の国では他国者のようになってしまう。
過去に興味を持ちすぎると現代の事柄に対して無知に留まってしまう。
歴史は省略し語られる。
そしてデカルトは成年に達した瞬間、書物の学問を捨て旅行しあちこちの宮廷や軍隊を見て学んだと言っています。しかし、宮廷や軍隊でどのような経験を積んだかについては詳しく書かれていません。
これを読み僕は旅をしている自覚を持って本を読むべきと捉えました。
というのも僕はどんな本(情報)でも触れる価値はありますが読んで得られる経験の属性は異なると考えます。自分の取り込みたい情報だけ取り込むと視野が狭くなりそうなので、寄り道も積極的にすべきと考えているのですが、時間は有限なので、何かを達成するためには自分が進みたい方向に近づくことに役立つ情報を意識的に取り込み、進みたい方向でない本を読んでいるときは寄り道をしている自覚を持つべきなのではないか?ということです。

一人で組み立てられた作品の完全性
建築家が一から作った城と、古い城壁を利用した城
城下町が発展してできた町と、技師が設計した町
一つ一つが優れているわけではないが、リュクルゴスが一人で作り同一の目的に向かうスパルタの憲法
などを例に一人が仕上げた作品の完全性に多くの親方の手でできた作品は敵わないとしています。
僕も何か作るときは一人バシバシ物事を決める役割の人がいて、周りはサポートという形でないと進みも悪く出来上がったものも中途半端になると考えていて賛成です。

4つの規則
デカルトは23歳でこの理論に気づき、あらゆる問題を解く能力を手に入れたと言っています。(自称)

  1. 自身が明瞭に真と認めたもの以外受け入れない。
  2. 問題を小部分に分かつ
  3. 順序に従って導く(単純で認識しやすいものから始める)
  4. 何も見落とさなかったと確信しうるまで枚挙する

自信満々な言い回しが多くてちょっとおもしろいです。

暫定的な道徳
哲学のため全てを疑っている時もデカルトは、幸福に生活をするために暫定的なルールとして下記を守っていました。

  1. 自国の法律と習慣に服従。最も穏健な意見に従う。
  2. 自身の行動に対してきっぱりとした態度を取ること。(一貫性を持つ)
    森の真ん中で迷子になるよりは、間違った出口に着く方がマシ。これにより後悔や悔恨から脱却できる。
  3. 運命より自己を変える。
    世界より自分の欲望を変える。

2の主張に一貫性を持つべき論に対しては、僕は間違えることを前提にいつでも手のひらを返せるように準備して気楽に話していった方が楽で良いのではないかと思ったりもするのですが、そうやって過ごしている僕は軽い人間と思われているような気もするので、デカルトの言うようにきっぱりとした態度を取った方が逆に無難なのかもしれません。

 

 

ということで意外と面白くて、暇な学生の頃に読んでおきたかったなと思いました。