こんにちは。11月くらいから半年近く、1ページも本を読んでなかった気がします。
残業が月20時間いかないくらいから平均月25時間くらいになったり、暇なときどころか暇じゃないときでもYouTubeで動画を見るようになったり、ここ半年でいろいろ変わってしまいました。
でも、仕事のペースに慣れてきたからか、久々に本を読みたい気分になって、湊かなえの「白ゆき姫殺人事件」を読みました。
白ゆき姫殺人事件
その感想を書くんですが、結論から書くと、僕の好みに合う小説でした。
白ゆき姫殺人事件のどこが好きか?文体が好きです。
湊かなえは、キャラクター対キャラクターの会話や、風景や物の描写を完全に無くして、キャラクターの一人語りだけで、淡々と進んでいく形式の作品をよく書いているんですが、これが僕にとっては魅力的なんですよね。
それがどうして良いのかというと、
本来あるものを省いてテンプレから外しているから新鮮で良いのか?
無駄な情報がないから読みやすいのか?
複数キャラの一人語り形式が、あるキャラの視点ではこうだが、他のキャラの視点ではこうなる、しかもキャラがたまに嘘をついてるという見せ方に合ってるから?
他の気づいてない理由からなのか?
いろいろ良いところがあって、一人語りだけの文が良い理由はこれ!とは言えないんですが、とりあえず湊かなえが書くそういう文体の小説が好きです。
「白ゆき姫殺人事件」も複数のキャラクターの一人語りだけで話が進んでいきます。
美女が殺される事件が起きて、週刊誌のライターが、それを追ってインタビューをしていくというあらすじで、主人公というか読者の目になる週刊誌のライターが何を思ったかは文章では全く書かれません。
もう、この時点でストーリーで躓かない限りおもしろくなるに決まってるんですが、ストーリーもそこそこおもしろいです。
ただ、湊かなえ得意の一人語りのみで進める文体以外にも、この本では、キャラクターのSNSと、キャラクターが書いた週刊誌の記事をそのまま載せる新しい試みをしているのですが、そちらがしっくり来てません。
この本に出てくる、マンマローという架空のSNSは、Twitterをモデルにしているようなのですが、限られた登場人物しかいないからなのか、微妙にTwitterぽく見えない閉じた空間に感じられて、中途半端な再現に見えます。
あと、自然な流れでSNSや記事に移行してくれないので、小説の中で浮いていて、読んでてあんまりおもしろくないし美しくないです。かといって、文章でTweetを表現するとそれはそれでダサいし・・・。
それで、読みたい人は読んでくださいみたいなかんじで、各章ごとに資料参照と書いて巻末にまとめて載せてるのかもしれませんけども。
まとめ
文体が良いのは説明したとおりで、加えてストーリーもおもしろかったと思います。キャラクターの行動や思考もだいたい納得できて違和感は感じなかったです。
しかし、積極的におすすめするかというと否で、 似たような形式の湊かなえの小説なら、これより「往復書簡」、「贖罪」、「告白」あたりの方がおもしろかったような気がするので先にそちらをおすすめします。
読んだのが随分前なので、こっちの方がおもしろかった気がするというイメージになってしまうんですが・・・。
さようなら。