読書ノート9 事例で学ぶ公務員のための交渉術

最初に

おもしろかったです。

おすすめです。

 

 

事例で学ぶ公務員のための交渉術

著者:話し方研究所所長 櫻井弘

発行:2014

 本の紹介・手に取った経緯

僕は全然公務員ではないのですが、ぱーっと立ち読みして普遍的に役立つことが書いてありそうだったので、読んでみました。

公務員向けの実例とセットでコミュニケーション理論が書かれています。176ページですが、読むのに時間はかなりかかりました。

そもそもターゲットを絞らない本は内容がふわっとしていて読んだ後何だったんだろう・・・となりがちなので、最近は、少しターゲットから外れていても、読者を想定して絞っている本を読みたいと思いながら本を選んでみています。

 興味のあった章だけまとめます。

 

コミュニケーションの3ステップ

交渉では、言い回しや態度も大事だが、そもそもコミュニケーションの原理原則に基づいた3ステップがある。

①関係形成

②理解促進

交渉内容をわかりやすく伝え相手の理解・納得を得る。「説明力」が重要。

「説明」とは相手のわからないところ知りたいところに焦点をあて、相手にわかってもらうことを目的とするコミュニケーション。

・誰に何を説明するのか

・~とはなにか

・なぜ~するのか

・どのように~するか

を意識する。

③行動喚起

相手が自らの意思でこちらの提案を受け入れ、さらに自発的に行動を起こしてもらうよう「説得」する。

力づくで押し切ろうとすると口論になる。

 

②は、かなり意識が必要です。自分の知ってほしいことばかり伝えようとすると独りよがりになってしまいます。ありがちな失敗で僕も上司への報告で似たことをけっこう言われてきました。

③行動喚起は、ちょっと前に読んだ営業の本でも、お客様に教えて見せてと言わせることをかなり意識していました。相手自ら欲しいと思わせるのはコミュニケーションの基本なのかもしれません。

 

説得のスキル5つ

①聞き役に回る

相手が説得を受け入れてくれるポイントを見つける。

②結果を示す

人は結果 がイメージできると安心して行動できる。

相手に結果をイメージさせる。

③具体的な方法を提示

これにより相手の負担を軽くする。

やるか、やらないかだと追い詰められ保守的な判断になるが、いくつかの案を提示されるとやる前提で考えられる。

 ④肯定的に表現する

時間が無い→この時間内なら8割まで完成できる

予算が足りない→あと10%の予算追加で予定通りにできる

など

⑤時・場所・人の条件を活用

短い時間で回数を増やし関係構築をするのか、有利な交渉なら1回で長い時間を取って決めてしまうか

 

僕の仕事相手でも、やるの?やらないの?みたいなコミュニケーションをしてくる人はいるんですが、この聞き方だと本当にやる気が出ません。

やるならこうするのが良いよねとプランを示してくれたり、肯定的な見方をしてくれる人のお願いだと、こっちも乗り気になって尽くしたくなるものです。

上下関係があればこの通りにしなくても言うことを聞かせることはできるかもしれませんが、こっちが下だったり、どっちに転ぶか微妙な状態で人を動かしたいなら、この通りにするのは間違いなく効果的でしょう。

 

交渉の準備

①目標の確認をする

②制約条件を確認する

③個人情報を確認する

説明相手の情報を得る。

④相手の内情を知る

社内事情や組織内の人間関係を探ることで、相手がすぐ結論を出せる人かどうかなどもわかる。

⑤交渉がまとまらなかった場合を考えておく

⑥場所と時間を考える

⑦相手との力関係を掴む

相手の内情を探るとこれもわかる。主観的に自分の条件を並べ、有利と思いこまないこと。

目標に対し、自分の持っているものは強みとして発揮できるのかを考える。

⑧情報の幅を持つ

⑨さまざまな対応の仕方を考えておく

⑩選択肢を複数用意しておく

 

本だと10項目の交渉前の準備を紹介していますが、僕は特に①②③④⑦が重要だと感じました。他は真面目に準備するつもりがあれば意識しなくてもできる気がするため。

目標、制約を確認するのも当然なのですが、人々はいつだってこれを無視した議論をしがちです。

 

 説明会で満足度をあげるためのポイント

・真意を強くアピール

施策が住民のために行われていることをわかってもらう。工事や制度の内容を詳細に説明すればいいわけではない。

・厳しい意見に応酬しない

「そのようなことはありません」「いえそうではありません」ではなく、

「たしかにそう感じるのはもっともです」「負担が多くなることはよくわかります」

で返す。その後は状況を変えられないことを説明し、プラスのことを強調する。

・一対多のコミュニケーションを意識

①相手に親しみを持ってもらう

2~3分説明会と関係ない話題から入る。

②話し方の構成

◎共感するエピソードを最後ではなく、最初に持ってきて後の話に興味を持ってもらう。

※最後に持ってくれば盛り上がるが、理解してもらうこと優先なら最初に。

◎聞き手が知りたがる順序で話す。

※気がかりな情報、知りたいことの答えが保留のまま話が進むと話が頭に入らない。

 

営業の本だと雑談は不要という話でしたが、たしかに一対多の説明会だと必要かもしれません。聞き手が知りたいことから話すのは共通です。

ビジネスでは結果から話せとよく言われますが、これもそう考えると自然です。

 

聞く力

聞くことは大切。

なぜ聞くことが大切か

①相手の基本的欲求を満たす

相手の話に一回共感し、相手のわかってもらいたいという要求を満たした後なら相手も素直に要求を聞いてくれる

②相手の情報が掴める

相手の考え・要求を即「わかった」「たぶんこう」と判断する失敗パターンがありがち。

③相手に応じた対応ができる。

僕はせっかちなタイプなので、入社当時怒られまくっていました。相手の話を遮ると相手はめちゃめちゃ怒るというのは、何度も実体験として 感じています。間違いなくこの通りにした方が良いです。

 

聞くことで相手を知る

ここまでは「お先にどうぞ」のやり方。話してくれない相手から聞くには下記を意識。

①自己開示して相手が話しやすい雰囲気作り

②キーワード(相手の想いが表れているワード)をスルーしない

③確認話法を使う

 

聞くことを表現として考える

ありがちなパターン。「こうしてもらいたい」という場面では手振り、身振りなどパフォーマンスを交えて熱心に話すのに、「聞く側」だと気のない聞き方になる。

「あなたの話を聞いています」と話してにわからせる表現として考える。

たしかに聞くことをパフォーマンスと割り切ってしまえば、シャイな人間でも相手を乗せるようなあいづちが打てそうな気がする。

①アイコンタクト

穏やかな眼差しで話し手を見ることを意識する。

(1)フレームワークから視線を外さないようにする

フレームワーク」: 左右は話し手の顔の幅。上下は話し手の額から顎。

目を直接見るのではなく、これをフレームワークとして、視線を向けるようにする。

鼻(顔の中心)あたりを見て、要所で目を合わせる。

(2)自分の左目で相手の左目を見る

意識して対角線上のアイコンタクトをする。両目で相手の両目を見るよりもジーっと見られているかんじが薄れ穏やかな眼差しになる。左目を合わせる理由は、左目が感覚を司る右脳とつながっているとされるため。

対角に目を合わせるテクニックはすぐに活用できそう。

②うなずき

下記を意識

・内容に応じてうなずく。

・相手の目を見ながらはっきりうなずく

・タイミングよくうなずく

まあ難しいことが書いてあります。実践しなければ身につかないのでしょう。

③あいづち

あいづちは6種ある。

 ◎共感・・・おもしろいね、大変でしたね

 ◎同意・・・たしかに、そうですね

 ◎整理・・・つまり〇〇ですね、要するに

 ◎促進・・・それから、例えばどんな点ですか?

 ◎転換・・・ところで、話は変わるけど

 ◎驚き・・・へぇ~、知らなかった

・同じあいづちを繰り返さず変化をつける。

・相手の話に応じて工夫

・大袈裟でなく気持ちを込めて

あいづちのバリエーションは意識したいです。これ全部暗記して順番に繰り返せばとりあえず上手くいきそうな気はします。

 

質問について

質問はコミュニケーションを双方向にできる。

意識すること

・自分が聞きたいことを聞くのではなく、相手の情報を引き出していく。

・事実より話し手の気持ちに焦点を当てる

 

 質問をする際の心得

①質問の目的を明確にする。

「事実」「意見」「感情」のどれを聞くのか?

②遠慮しない

尋ねるタイミングを計るのは重要だが、タイミングが来たら率直に聞く。

③漠然とした答えには漠然と返さない

「この施設はどうですか?」→「まあまあじゃない」

→A「そうですか」

→B「点数をつけるとしたら?」「50点くらいですか?」

「あと〇点はどこが足りないですかね?」

とBのように聞いていくことで得られる情報が増える。

③は特に意識したいです。

 

質問に答えるとき

相手がどういう意図で質問しているのかわからないとちぐはぐな回答になる。

聞く力がある人は相手の話を正確に聞き取った上で話すので、やりとりがかみ合って、話し上手と評価される。

 

 

クレームを前向きに捉える

クレーム対応

・クレーム→役所の知らない情報を提供してくれていると捉える。

・第一声はありがとうございます!

・自分の所属と名前を名乗る

 市民はきちんと責任をもって対応してくれるかを気にしている。所属を名乗ることがこれに対する答えにあたる。

コミュニケーションの過程

相手を①認識→②理解→③尊重する

コミュニケーションが上手く図れない、相手が協力的に動いてくれないときはここを見直す。

コミュニケーションを活性化させる3条件

①双方向性

②対面性

③水平性

子どもの目線に立って子どもと話すようなイメージで、相手との違いを意識してギャップを埋めるような行動をとる。

 

相手をその気にさせる試み

マジックフレーズを使う。

マジックフレーズの例。

①詫び言葉

後手に回ると自分の非を認める形になるので、先手で発することが重要。

②感謝

③接客言葉

「お手数おかけします」「失礼ですが」「恐れ入ります」など

特に相手に時間をとって協力してもらうとき同時に複数使うことで相手の反発心を和らげることができる。

 ④あいさつ言葉

「おはよう」「こんにちは」など凝らない言葉の方が相手が返事しやすく有効。

「初めまして」「よろしくお願いします」「お疲れ様です」などは実は相手が返事しにくい。

⑤返事の「はい!」

 

 

 まとめ

特に下記を意識したいです。

・対角に片目を合わせてアイコンタクト

・厳しい意見に応酬しない

・漠然とした答えには漠然と返さない

・あいづちのバリエーションを意識

・相手に結果と道筋をイメージさせて説得

・相手の知りたい、話したい欲求を満たす